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子どものやる気を引き出す6つの方法と心理学的根拠をわかりやすく解説

子どものやる気を引き出す
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子どもが全然勉強をしないと、ついついイライラしてしまいますよね。

「勉強しなさい!」と怒っても何の解決にもならないことはよくわかっている。でもどうすればいいの?

実は、子どものやる気を引き出す仕組みを心理学的に理解すれば、誰でもやる気を引き出すことができます。

ななかまど

筆者は幼児教育の現場に7年勤務し、現在は心理学の観点から「子どもの学び」について研究しています。

この記事を読めば、今すぐ実践できる子どものやる気を引き出す具体的な6つの方法心理学的な仕組みが簡単に理解できます。

我が子は3人とも、この方法で自分から勉強するようになりました。

タップできる目次

やる気には2種類ある

動機づけ

「やる気」と一言で言っても2種類に分かれます。

「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」です。

外発的動機づけ

外発的動機づけとは、

  • 怒られるからやる
  • 勉強すればゲームができるからやる
  • ご褒美がもらえるからやる

など、自分の外にやる気の理由がある状態です。

内発的動機づけ

内発的動機づけとは、

  • 楽しいからやる
  • もっと知りたいからやる
  • 時間を忘れて夢中になってしまう

など、自分の内側にやる気の理由がある状態です。

最終的には内発的動機づけを目指す

外発的動機づけによるやる気は、一時的な物で長続きしないと言われています。

外に理由があるので、怒られなければやらないし、ゲームができないならやらないようになってしまうのですね。

外の環境によって、やる気が出たり出なかったりするので、理想は「内発的動機づけ」を目指すのが良いでしょう。

ただし子どもの場合、勉強を最初から自分の内側にモチベーションを持って、取り組むのはかなり大変ですよね。

そこで最初は外発的動機づけが理由であっても良いので、最終的には、子ども自身が勉強を「もっと知りたいからやる!」「解けたら嬉しいからやる!」という状態へサポートすることを目指すとよいでしょう。

子どものやる気を引き出す6つの方法

方法

子どものやる気を引き出す上で大切な考え方が、アメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した「自己決定理論」です。

自己決定理論では、子どもの「自律性」「有能さ」「関係性」の3つを高めていくことが重要とされています。

自己決定理論

この3つを高めていく具体的な方法を6つ紹介します。

成功体験をサポートする

成功体験

まずは「成功体験」を意識して、自分はやればできる!という自信をつけてあげることが大切です。

小さな成功体験を積むことは、自分の「有能さ」を自覚し高めていくことにつながります。

ななかまど

勉強であれば学年で教材を選ぶのではなく、お子さんが7割は解けるレベルの教材を探し、スタートしましょう。

人は、まったく知らないことに興味を持つことは難しく、ある程度知っていることに「もっと知りたい!」と強く関心を抱きます。

最初は簡単すぎる問題でも、徐々に知識が増えてくれば「もっともっと自分の知らないことを知りたい」と思えるようになるのです。

これは、「人はちょっとだけ知っている情報が、もっとも知的好奇心をかきたてる」という心理学者・行動経済学者のジョージ・ローウェンスタインが提唱した「情報の空白」という理論です。

空白の知識

子どもが自分で決める

自己選択

最初のうちは、子どもにあった適切なレベルの教材選びをサポートすることは重要ですが、できるだけ子どもが自分で決める機会を作っていきましょう。

例えば

  • 勉強を始める時間を子どもが決める
  • レベルに合った教材を複数用意し、その中から自分で選ぶ
  • どこで勉強するかは子どもが決める
  • サポートはしつつも学習予定を子ども自身が書く

など、できるだけ「自分で決めた」という状況を作ることで意欲的に取り組めるようになります。

これは「自律性」を高めることにつながっていきます。

環境を見直す

環境設定

勉強する時に、集中しやすい環境が整っているかを見直すことも大切です。

例えばリビング学習をするのであれば、子どもが勉強する時に近くでテレビを見ている家族がいたら勉強に集中できません。

周りで騒いでいても同じく集中できませんよね。

ななかまど

子どもが勉強する時間には、親も読書や勉強をしたり、兄弟がいれば勉強時間を合わせるなどの配慮も有効です。

兄弟が一緒に勉強することで、上の子は下の子に勉強を教える姿も見られるようになり、「関係性」の向上にもつながります。

習慣化する

習慣化

モチベーションに左右されずに勉強をするには、勉強を習慣化してしまうのがベストです。

ななかまど

ポイントは、勉強につながる「きっかけ」を作ること。

例えば、

  • おやつを食べたら宿題をする
  • 朝起きたら家庭学習をする

など、毎日必ずすることとセットにしてしまうのがおすすめです。

この時、どの行動とセットにするかは最終的に子どもが決めること。

「習慣化する」という目的であれば、最初は「きっかけ」→「勉強」→「ご褒美」をセットにするのもアリだと思います。

ななかまど

うちの子は、子どもの手帳を取り入れて、計画した勉強がすべて終わったらシールを貼っています。

こどもの手帳

もちろんご褒美がある状態は「外発的動機づけ」なのですが、「きっかけ」→「勉強」という習慣化をすることにより、後々「ご褒美」がなくなっても続けることができるようになります。

「朝起きたら勉強しないと気持ち悪い」という状態を作ることができたのです。

ななかまど

手帳にシールを貼ることで、予定した学習がすべて終わったかを自分で振り返ることもできるのでおすすめ!

子どもの疑問には真剣に向き合う

疑問

子どもの疑問は、好奇心の種。真剣に向き合うことが大切です。

「なんでだろう?」「どうしてだろう?」そう考えることが学びのスタート。

子ども自身で疑問を言語化できたのはすごいことです。

ななかまど

できる限り対話を広げていきましょう。

そうは言っても、忙しくてなかなかすべての疑問に向き合えないことも多いですよね。

そんな時はまず「良い質問だね!」と返しましょう。

正しい答えを知らなくても「一緒に調べてみようか。」とか「お母さんはこう思う。あなたはどう思う?」という対話をすることが大切です。

これからの時代、答えのない問題に向き合う力が大切だと言われています。

子どもの疑問は、そういった力を育てる種であることを理解しておきましょう。

生活習慣を見直す

生活習慣

「早寝早起き・朝ごはん」とよく言われますが、これは脳科学的にも正しいと言われています。

アメリカの国立睡眠財団によると、睡眠不足が続くと海馬が育たなくなるそうです。

海馬は記憶力をつかさどる部分なので、海馬がしっかり発達しないと学習にも影響を与えます。

また、朝は脳のゴールデンタイムと言われ、夜に勉強するよりも効率的に学習できることがわかっています。

ななかまど

生活習慣が乱れている家庭は、お子さんの学習のためにも見直してみるとよいですね。

子どものやる気を後押しできる親のマインド

サポート 応援

子どものやる気を引き出す6つの方法を紹介しましたが、理論上はわかっていても、実際に実践するのは難しいという方も多いのではないでしょうか。

実際、私も子どもたちに実践するまでには長い間葛藤がありました。

ななかまど

しかしアドラー心理学の考え方を知ってから、かなり子育てが楽になりました。

ここでは、子どものやる気を後押しできる親のマインドとして、アドラー心理学の3つの考え方を紹介します。

子どもをひとりの個人として尊重する

「子どもは親が育てる」という考え方ではなく、「ひとりの個人として尊重する」という考えで接します。

親と子どもは「縦の関係」と表されることがありますが、簡単に言えば、「縦の関係」ではなく「横の関係」です。

例えば、子どもが片付けをしなかった時、縦の関係だと「早く片付けしなさい!」という声かけになります。

これが、横の関係だと「お母さん、部屋が散らかっていると嫌な気分になるんだよね。次に使う時に元の場所に戻してないと、どこにあるかわからなくて困ることもあるよ。片付けてくれる?」という声かけになります。

ななかまど

自分の考えは言うけれど、相手の考えも尊重する。これが横の関係です。

親の課題と子どもの課題を分けて考える

優しい言い方をすれば、子どもは言うことを聞かないかもしれない。

と考える方もいるでしょう。

そこで、2つ目の考え方が「課題の分離」です。

「課題の分離」とは、誰の課題かを分けて考えること。

先ほどの片付けの話で言えば、片付けをしてほしいと伝えることは、親の課題。

実際に片付けをするかどうかを決めるのは、こどもの課題です。

もし、声かけをきいてこどもが片付けをしなくても、それは子どもの課題なのです。

ななかまど

親の課題は、「子どもが片付けなかったことで自分自身が不快に感じていることをどう解決するか?」です。

  • 伝え方を変えてみる
  • 自分で片付ける
  • 片付ける方法を伝えてみる
  • 片付けやすい環境を設定する

など、さまざまな解決策が浮かびます。

アドラー心理学では、基本的に他人と過去は変えられない。変えられるのは自分自身と未来だと考えます。

子どもを自分の言いなりにすることは出来ないし、する必要がないのです。

褒めるのではなく勇気づける

「褒めて伸ばす」とよく言われますが、場合によっては褒めることは悪影響にもなります。

例えば、点数が良かったときなど、親の期待に応えた時にだけ褒められる状態が続くと、子どもは親の期待に沿うように努力します。

それでも親の期待に応えられないと、自分には価値がないと考えるようになります。

また、親と意見が違うことも悪いことと考えるようになると、子どもは自分自身を押し殺して生活するようになります。

では、いいことをしても褒めてはダメなの?と考えるかもしれませんが、「褒めるのではなく勇気づける」というのがアドラー心理学の考え方です。

そもそも、「褒める」「叱る」という行為はどちらも縦の関係のときにしかおこりません。

どちらも、相手を操作しようとする目的があります。

子どもを対等な個人として尊重すると、「褒める」「叱る」という行為にはなり得ないのです。

子どもが進んで勉強しない時、

「今日はやる気がでないみたいだね」

「どうすれば、勉強できそうかな?」

ななかまど

子どもの立場に立って対話していくことが重要ではないでしょうか。

子どもが自分から勉強するようになるまでの気持ちの変化

子どもが自分から勉強するようになるまでの過程を簡単にまとめると以下のような変化があります。

  1. 拡散的好奇心を持つ
  2. 成功体験で自信がつく
  3. 質問で自分が無知であることに気がつく
  4. もっと知りたいという知的好奇心が育つ

子どものやる気を引き出すきっかけは【拡散的好奇心】

子どものやる気を引き出すきっかけは、好奇心です。

「好奇心」と一言で言っても、様々な好奇心に分けられます。

  • 拡散的好奇心…新しい情報に触れた時に知りたいと気になり刺激や楽しさを追求するもの
  • 知的好奇心…もっと深い知識や理解を求めるもの
  • 共感的好奇心…他人の考えや感情を深く知りたいと思う感情
  • 特殊好奇心…特定の分野に深い知識や理解を求めること

このうち拡散的好奇心は、子どもたちがもともと持っている力です。

隙間におもちゃを落としてみたり、気になったものをすぐに舐めて確かめてみたり…。

ななかまど

子どもたちは、生まれたときから好奇心旺盛ですよね。

子どものやる気を引き出すきっかけは、この拡散的好奇心にあります。

しかし子どものやる気につながる好奇心は、拡散的好奇心ではなく、知的好奇心と呼ばれるもの。

ななかまど

拡散的好奇心を知的好奇心にまで育てていくプロセスを、幼児教育で実際に得た経験からお話します。

【成功体験】で自信がつく

例えば、子どもがパズルに興味を持った時、最初からうまくできる子は少ないですよね。

パズル

「ここが赤いから、赤を探してみる?」

「形がまっすぐなものから入れてみたら?」

とうまくできるように声をかけたり、難しそうなら少し手伝ってみたりとサポートすると思います。

ななかまど

ここで大切なのが、最後の1ピースは子どもがやることです。

遊びでも勉強でも同じで、解き方をサポートしたら、最後の答えは子ども自身が出します。

そうすることで、「できた!」という成功体験につながります。

できた時に、おとなも一緒にできた喜びを共有することで、自信につながっていきます。

「楽しかったね!」「できたね!」と声かけをしていくと良いでしょう。

達成感だけで終わらせない【質問】の重要性

遊びであれば「楽しいからまたやりたい!」という気持ちに繋げやすいですが、勉強の場合はそう簡単にいかないことも多いですよね。

「できた!」という達成感で満たされると、拡散的好奇心は満たされてそれ以上の知識を追求しない場合もあります。

ななかまど

ここで拡散的好奇心を知的好奇心に育てる方法が「質問」です。

例えば、先程のパズルなら「どうして、このピースだけ角があるんだろうね?」など、子どもが気がついていない部分について問いかけます。

すると、すべてのピースが完成して満足していた子が「なんでだろう?」と考えはじめます。

勉強であれば、「どうしてここはこういう答えになったの?」と説明を求めてみます。

解くことができても、しっかり理解していないと説明できないので難しくなります。

この時すぐに答えられなくても大丈夫。

「自分がまだわからないことがあると知ること」がポイントです。

わからないことがあると知ることで【知的好奇心】が育つ

人は、まったくわからないことには興味を持ちません。

また、すでに知り尽くしたことに関してもそれ以上知りたいとは思わないですよね。

知的好奇心が生まれるのは、新しい情報による刺激によって、自分が無知であると自覚させられた時です。

これは、心理学・行動経済学者のジョージ・ローウェンスタインが提唱した「情報の空白」という理論で、少しだけ知っていることが知的好奇心に火をつけるのです。

空白の知識

こどもの学習でも同じで、簡単すぎる問題にも難しすぎる問題にも、やる気を出すことはできません。

よって、子どもの教材選びも子どものやる気を引き出すのには、とても重要なポイントです。

ななかまど

子どものレベルからほんの少しだけ難しい問題が、子どもをやる気にさせるのです。

まとめ:子どものやる気をうまく引き出して自律した学習者へ育てよう

子どものやる気には「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類があり、最終的には「内発的動機づけ」を目指すことで自律した学習者へと育ちます。

子どものやる気を引き出すには、拡散的好奇心から、成功体験→質問→知的好奇心へとつなげていくことが重要です。

そのために、6つの具体的な方法を意識していきましょう。

  • 成功体験をサポートする
  • 子どもが自分で決める
  • 環境を見直す
  • 習慣化する
  • 子どもの疑問には真剣に向き合う
  • 生活習慣を見直す

参考文献

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ななかまど

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